No.4
2000年3月13日
花粉症の予防について
 関 元行
  • 今年もすでに花粉症でお悩みの方が来院される時期になりました。 毎年、1月1日からの最高気温の積算温度によるスギ花粉温度計なるものがあって、200度に達したのが1月24日。その2週間後の2月7日にスギの飛散が予測されており、2月28日には400度に達し要注意となっています。

  • 人体の外界と接する部位は皮膚と粘膜とに限られ、その表面積はテニスコート1面半になると考えられています。異物はここから侵入するので、皮膚・粘膜における免疫系(人体を守ろうとするしくみ)が重要な役割をはたしています。アレルギーとは、そもそも人体を守る免疫系が、かえって人体には不利となるもので、花粉症は特定の花粉によって、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚炎等を来たすものを言います。
    皮膚・粘膜がどの位の量、どれ位の期間、曝されたかにより発症するもので、体内に特定の抗体が上昇し、いわゆるくしゃみ、はなみず、はなづまり等が出て来るには、3年程度を要すると考えられています。また人の免疫機能のピークは45才ごろと言われており、高齢者に至っては余程の曝露量がなければ起こりにくいと考えられています。 (例えば、稲作を転じて果樹園の授粉作業時に大量の花粉に接する場合等)

  • 疫学的に大気汚染との関連性も言及されていますが、日常生活の中で暖かい室内から温度差のある外気温の中へ出た場合には鼻粘膜がはがれ落ちることがあるとの観察があり、スギの花粉が飛びはじめるまでの期間、外出時に冷たい空気を吸いこまない工夫が必要です。その他、日常的に自分から心がけることのできる工夫がいろいろあると 思われます。帰宅後の洗顔(洗眼)、花粉を通さないマスクの使用、毛先を皮膚に触れにくくする。マクラカヴァー等の洗濯物は室内で乾燥させるetc…。

  • 薬物治療について

    1. 特異的減感作療法
      注射によるもので、根治が期待出来ますが、時間と費用の点でなかなか一般的ではないと考えられます。

    2. 対症療法(根治療法ではない)
      現在、事前に花粉飛散の情報が得られるので、飛散開始の2週間前から抗アレルギー剤の予防内服(病悩期間中続けて)が一般的と考えられます。それでも症状の治まらない場合には、点眼液、点鼻薬、等種々を上手に組み合わせて症状の軽減化を計っていただきたいと存じます。

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